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マイペンライがモットーです
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 2007年2月25日放送の「世界ウルルン滞在記」で、ちょっとしたハプニングがありました。


 柳沢なな、っていう20歳の女優が、ネパールの山岳民族のところへ。
 いつもなら、よく来たね~と歓迎されるんです。
 ところが今回は、村の女性たちから総スカン。
 「カメラなんか向けるな」と撮影を拒否。そして、「白い女は恐ろしい」と、はるばる日本からやってきた若い女の子をハナから受け入れない。

 驚きました。
 だって、この手の番組では、当然相手の国にコーディネーターがいて、話がつけてあるはず。
 行ってみたら撮影自体不可能ってのは、多分この番組でも初めての出来事なんじゃないかな。

 結局、撮影は不能。ななさんは、村の中で寝ることすら許されない。
 で、その村での撮影は断念し、別の村の家族へのウルルンに急きょ変更と相成りました。
 結果オーライでしたが、コーディネーターがいたのにも関わらず、撮影自体まったく受け入れなかった人たちの存在に、私は衝撃を受けていました。

 なんて閉鎖的な人たちなんだ、と正直思いました。
 でも一方で、実はとっても繊細な問題を孕んでいるのかもしれない、とも感じました。

 撮影を拒否したのは、「ラウテ族」という少数民族。
 ネット上でもほとんど情報を得ることができないほどのマイナーな民族です。
 かろうじて発見したサイトの情報によると、

「ラウテ」は、西ネパールの密林でいまだに狩猟生活を続けている少数民族です。他の社会との接触を好まず、独自の伝統を守っています。彼らは、材木を使い生活道具を作るのを得意としています。また、自分達の母国語ラウテ語を持っています。公用語のネパール語ができるラウテは非常に少数です。黒い肌、引き締まった身体つきはモンゴロイド系の特徴を備えていますが、祖先ははっきりしていません。「ジャングルの王」として自負しているラウテ達はネパールの先住民族ではないかと唱える人類学者もいます。
海外旅行のぽぽらーれ」さんより引用


 とのこと。

 彼らは元来ジャングルに住む自由の民だったのです。
 番組の中で、同行するコーディネーターのことを「ラウテに永年、定住化を勧め、関わってきた人物」と紹介していました。
 そのコーディネーターのおかげで彼らは定住化し、村を作って生活しているわけですが、その生活の変化を彼ら自身が好ましいものと思っているとは限りません。

 もしかしたら、彼らラウテの人々のなかには、定住化に対する鬱屈した感情が渦巻いていて、彼らのなかでもギスギスした雰囲気があるような時期だったのかもしれません。

 そして、何も知らずにウルルンしに行ったうら若き天真爛漫な女優ななさんは、その鬱屈した感情にはねつけられてしまった。
 推測に過ぎませんが、そんなとこだったのかもしれないなと思っています。

 狩猟民族の定住化というのは、難しい問題です。
 貨幣経済が浸透していく過程において、狩猟民族が狩猟民族のまま自由にジャングルを歩き回ることは、国家としても看過しがたいことであり、当の狩猟民族側にとっても、他の民族との貧富の差が限りなく拡大していくことになってしまう。
 だから、損得の面から考えれば、狩猟民族も早く定住化し、農業で生計を立て、学校をつくって教育水準を上げていくことが「得」に決まっています。
 ラウテのリーダーたちも、きっとそのことは十分にわかっていて、定住化が行われている真っ最中なのでしょう。

 でも、狩猟民族には狩猟民族の生活スタイルがあり、彼らがその生活スタイルを守りたいという気持ちを無視することはできないと私は思います。

 理想を言えば、彼らが従来の生活スタイルでも生きていける社会になればいいのでしょうが、そもそも政治が最悪といってもいいほど不安定なネパールで、しかも未だジャングルを毛沢東主義者たちが闊歩するという状況の中では、狩猟民族の生活スタイルを守ってやるようなことは至難の業なのかもしれません。

 ななさんや撮影陣たちに一切笑顔を向けることなく、露骨に嫌悪の表情を浮かべていた女性たちや子供たちの姿を見ながら、そんなことを考えていました。

 まさかウルルンを見てそんなこと考えさせられるとは思いませんでしたよ。

 ともあれ、「一緒に暮らすはずの人たちから凄まじい敵意を浴びせられている」という、精神的にものすごくキツかった状況にいたのに、恨み言を言うわけでもなく、なんとか受け入れてもらうために最後まで健気に頑張っていたななさんには拍手を送りたいです。
 ひたむきな頑張りと人柄の良さに、すっかり感動してしまいました。

 柳沢なな、という名前はまったく知らず、女優としての活躍もまったく知らなかったのですが、今後ちょっと注目したくなりました。

 最後にななさんのブログ「七色の心得」をご紹介しておきますね。
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