明日の記憶

～2006年　日本映画　レンタルDVDにて鑑賞 ～

よくも悪くも、渡辺謙の熱演を見るための映画なんだなぁと感じました。

　いまノリに乗っている渡辺謙の迫真の演技は素晴らしいです。これが、例えば（例えが悪すぎるけれど）舘ひろしあたり主演だったらと想像するとゾッとします。いや、ちょうどグダグダなコメディードラマに舘が出ているのを見てしまったもので・・・。

それはともかく、まぁイイ映画でしょう。働き盛りで頭脳明晰で自信に満ち溢れたなサラリーマンが、若年性アルツハイマーを宣告されてしまった苦悩は察するに余りある。
涙ながらに観ることはできない映画ではあります。でもあんまり心に残らないんですね、なぜか。

察するに、おそらく樋口可南子扮する奥さんが、あまりに良妻賢母だからかな。
当然、苦悩しながら看護をしているわけですが、何だかあまりに生き生きしていて、ちょっと現実味が無い。
仕事一筋で家庭を顧みなかった夫が突然アルツハイマーになって看護が必要になったとして、果たして彼女のように素直に良妻賢母で居続けられるものか。

そういうできた人も世にはいくらでもいるのかもしれませんが、現実にはもっとドロドロとした感情が噴出してくるもんなんじゃないかと、私は思います。

若年性アルツハイマーを患う夫と、それを看護する妻。
とても過酷な立場にある夫婦の絆を描いているのはいいのだけど、奥さんができすぎてるおかげで、まるでファンタジーを観ているようでした。
これが例えばイギリスの映画監督あたりだと、リアリティを損なわずに描いてくれるんだろうなぁなんて思いました。