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~2000年 イギリス・ドイツ・スペイン合作 テレビ録画にて鑑賞~
英・独・スペインの合作となっているものの、舞台はアメリカのロスアンゼルス。監督は、イギリスの巨匠ケン・ローチです。
英・独・スペインの合作となっているものの、舞台はアメリカのロスアンゼルス。監督は、イギリスの巨匠ケン・ローチです。
ケン・ローチの作品を観るのは、正直疲れます。
あまりにリアリスティックで、そのため決してハッピーエンドに終わらない。
先日観た「Sweet Sixteen」なんて、あまりにも救いが無くてポカーンとしてしまうほどでした。
それでも、私は「好きな映画監督は誰?」と聞かれると、さんざ悩んだ末、たいてい「ケン・ローチ」と答えてしまいます。
彼の描く世界と向き合う心の準備ができていないと、ちょっと挫けそうになることもあるけれど、それでもやっぱり好きなんです。
彼の世界が、決してハッピーでは終わらないのにも関わらず、人を見つめる優しさを常に感じさせてくれるからかもしれません。
辛くても切なくても、それでも「人間って捨てたもんじゃない」って思えるんです。
ハリウッド映画ばかり観ている人には「暗い」と切り捨てられかねない作風だけど、私はケン・ローチの映画を観ることで、ほんのちょっと元気が出て、ほんのちょっと人に優しくなれるような気がします。
さて、ケン・ローチ作品への愛情を語るのはホドホドにして、「ブレッド&ローズ」についてお話します。
「ブレッド&ローズ」は、ロスアンゼルスのビル清掃員たちの労働組合を描いた作品です。
ケン・ローチお得意の労働者問題を扱っているわけですが、メキシコをはじめとした中南米諸国からの不法入国者の問題を同時に扱っていることにもなります。
そもそもイギリス人であるケン・ローチがアメリカの不法労働者問題を描くのは、何となく違和感があります。
強引に例えてみれば、日本人の監督が中国の農民問題を描いてみたり、韓国人の監督が日本のホームレスの問題を描いているようなものでしょうか。
ちゃんと描かれてさえいればいいんでしょうが、違和感がどうしても拭えないと感じるのは私だけでしょうか。
それはともかく、この「ブレッド&ローズ」はバリバリの労働者映画です。
清掃員のユニオンそのものを描いている作品です。
「オルグ」「アジテーション」なんていう言葉を連想してしまいます。
「私たち(清掃員)」と「彼ら(企業)」という、非常に明快な二項対立で描かれていて、「彼ら」により「私たち」がどうやって分断されようとしているかをわかりやすく描いています。
労組の教材としても使われておかしくないような映画ですね。
と、やや批判的に書いてしまいましたが、私がちょっと不満を感じるのは、そもそも不法入国した労働者たちが、市民権を持つ一般アメリカ人たちと同等の権利を得るのが正当なのかがきちんと説明されていない点です。
「清掃労働者の権利を求める運動」=「不法入国者の権利を求める運動」ではないわけですが、どうもこの二者が曖昧にされているように感じました。
アメリカの不法入国問題というのは、単純な問題ではありません。
仮に不法入国を認め、市民と同等の権利を与えることを公式に認めてしまえば、さらに多くの不法入国者が殺到し、アメリカというシステム自体が崩壊しかねない。
アメリカ社会にメスを入れようというケン・ローチの姿勢は大いに賞賛したいところですが、ちょっと消化不良かもしれません。
公開された2000年と現在(2006年)では、世界もちょっと変化してしまいました。
ケン・ローチには、例えばアメリカを描くのであれば、ニューヨークのイスラム系移民たちの問題なんかを描いてみてほしいものです。
あまり良いこと書いてませんが、でもやっぱりケン・ローチ作品は好きなんです。
主人公のマヤが「裏切り者」の姉を非難しようとし、「真実」を知らされるシーンなんかは、胸が張り裂けるような思いになります。
それに、「アメリカ」という資本主義の超大国で、労働組合をテーマとして取り上げるというのが、何と言うか、すごく意外で新鮮という面はあります。
この作品の情報はあまり多くないので、レビューを載せているサイトを下に貼っておきます。
”CineMagaziNet!" 大沢浄氏のエッセイ
”レイバーネット”の記事
あまりにリアリスティックで、そのため決してハッピーエンドに終わらない。
先日観た「Sweet Sixteen」なんて、あまりにも救いが無くてポカーンとしてしまうほどでした。
それでも、私は「好きな映画監督は誰?」と聞かれると、さんざ悩んだ末、たいてい「ケン・ローチ」と答えてしまいます。
彼の描く世界と向き合う心の準備ができていないと、ちょっと挫けそうになることもあるけれど、それでもやっぱり好きなんです。
彼の世界が、決してハッピーでは終わらないのにも関わらず、人を見つめる優しさを常に感じさせてくれるからかもしれません。
辛くても切なくても、それでも「人間って捨てたもんじゃない」って思えるんです。
ハリウッド映画ばかり観ている人には「暗い」と切り捨てられかねない作風だけど、私はケン・ローチの映画を観ることで、ほんのちょっと元気が出て、ほんのちょっと人に優しくなれるような気がします。
さて、ケン・ローチ作品への愛情を語るのはホドホドにして、「ブレッド&ローズ」についてお話します。
「ブレッド&ローズ」は、ロスアンゼルスのビル清掃員たちの労働組合を描いた作品です。
ケン・ローチお得意の労働者問題を扱っているわけですが、メキシコをはじめとした中南米諸国からの不法入国者の問題を同時に扱っていることにもなります。
そもそもイギリス人であるケン・ローチがアメリカの不法労働者問題を描くのは、何となく違和感があります。
強引に例えてみれば、日本人の監督が中国の農民問題を描いてみたり、韓国人の監督が日本のホームレスの問題を描いているようなものでしょうか。
ちゃんと描かれてさえいればいいんでしょうが、違和感がどうしても拭えないと感じるのは私だけでしょうか。
それはともかく、この「ブレッド&ローズ」はバリバリの労働者映画です。
清掃員のユニオンそのものを描いている作品です。
「オルグ」「アジテーション」なんていう言葉を連想してしまいます。
「私たち(清掃員)」と「彼ら(企業)」という、非常に明快な二項対立で描かれていて、「彼ら」により「私たち」がどうやって分断されようとしているかをわかりやすく描いています。
労組の教材としても使われておかしくないような映画ですね。
と、やや批判的に書いてしまいましたが、私がちょっと不満を感じるのは、そもそも不法入国した労働者たちが、市民権を持つ一般アメリカ人たちと同等の権利を得るのが正当なのかがきちんと説明されていない点です。
「清掃労働者の権利を求める運動」=「不法入国者の権利を求める運動」ではないわけですが、どうもこの二者が曖昧にされているように感じました。
アメリカの不法入国問題というのは、単純な問題ではありません。
仮に不法入国を認め、市民と同等の権利を与えることを公式に認めてしまえば、さらに多くの不法入国者が殺到し、アメリカというシステム自体が崩壊しかねない。
アメリカ社会にメスを入れようというケン・ローチの姿勢は大いに賞賛したいところですが、ちょっと消化不良かもしれません。
公開された2000年と現在(2006年)では、世界もちょっと変化してしまいました。
ケン・ローチには、例えばアメリカを描くのであれば、ニューヨークのイスラム系移民たちの問題なんかを描いてみてほしいものです。
あまり良いこと書いてませんが、でもやっぱりケン・ローチ作品は好きなんです。
主人公のマヤが「裏切り者」の姉を非難しようとし、「真実」を知らされるシーンなんかは、胸が張り裂けるような思いになります。
それに、「アメリカ」という資本主義の超大国で、労働組合をテーマとして取り上げるというのが、何と言うか、すごく意外で新鮮という面はあります。
この作品の情報はあまり多くないので、レビューを載せているサイトを下に貼っておきます。
”CineMagaziNet!" 大沢浄氏のエッセイ
”レイバーネット”の記事
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